フリーランスPR&マネージメント、RunGirl代表、3児の母と様々な顔を持つ宇田川佳子さん。今はランニングをしている時が自分のための貴重な時間だ。 一生無縁だと思っていたランニングと共に歩むことになった彼女の”ランダフルライフ“をご紹介。

スケジュール帳に「ラン」の文字が書き込まれるまで
彼女に近しい人ならば、文字がびっしり書き込まれたスケジュール帳を見たことがあるのは一度や二度ではないだろう。
「朝4~5時頃起きて、まだ家族が寝ている間に一人でカフェラテを飲みながらスケジュール帳を見てあれこれ考えるのが至福の時間なんです。 昔からスケジュールが詰まっていれば詰まっているほど燃えるタイプですね(笑)」

現在フリーでフィットネストレーナーのマネージメントの仕事とRunGirlの活動をしながら、夫と3人の子ども(9歳、7歳、4歳)と暮らす宇田川佳子さん。 2021年のスケジュール帳の最新ページを覗かせてもらうと、仕事やプライベートの予定はもちろん、子どもたちの学校の行事や習い事、買い物などのto doリスト、夕食の献立、思いついたアイディア、謎の数字まで、余白がないほどに文字で埋め尽くされている。

宇田川さんのスケジュール帳に「ラン」の文字が書き込まれるようになったのは今から15年ほど前、30代になりたての働き盛りの頃だ。
当時は独身でインポートのファッションブランドのPRをしており、海外との時差の中、アポイントに追われる多忙な毎日。 そんな時に目にしたのが女性誌「FRaU」での初のランニング特集だった。
「つらい、きつい、しかイメージがなかったランニングが、欧米ではおしゃれでかっこいいスポーツとしてセレブたちに愛されていることを知り、衝撃を受けました」
仕事で親しくしていたFRaU編集部の女性たちから、「マラソン大会はお祭りだから絶対好きだと思うよ!」と河口湖の大会に誘われ、興味本位で11kmのファンランにエントリーした。

「練習のために皇居の周りを走ってみたら、普段タクシーや電車で移動していた東京を自分の足で巡れることに心から感動したんです」

それまでやっていたサーフィンは友達と予定を合わせるのが難しかったり、ヨガやゴルフレッスンは決まった時間を空けられなかったりして思うように楽しめなかったが、ランニングなら、早朝だろうが夜遅くだろうが空いた時間に一人でも出来る。 働く女性の忙しい毎日にこんなにフィットするスポーツはない!と、一気に虜になった。

そこからは、スケジュール帳を眺めては、どこに「ラン」と書き込めるかを考える日々。
「当時は一人暮らしだったので、思い立ったらすぐ走りに行けるように皇居の近くのエリアに引っ越してしまいました(笑)」

ランニングシーンを生み出す立場に
それから数年後の2010年、雑誌の編集者をしていた友人とのランニング中の何気ない会話から、宇田川さんとランニングの新たな関係が始まる。
「せっかくランニングをしていても、女性が参加したいと思うマラソン大会がなかなか無いよね」
「無いなら自分たちで作っちゃう?」
二人はこの会話をすぐ行動に移し、それぞれが知りうるパワフルな女性ランナーに声をかけた結果、数日後にRunGirl(ランガール)が始動することになった。

声をかけた女性たちは皆、ユニークなバックグラウンドを持つ多忙なメンバーだったが、ランニングによって人生がより充実し、それを多くの人にシェアしたい!という共通の強い思いがあった。 その熱意が周りの人を惹き寄せ、わずか半年後に女性向けのランニング大会「RunGirl★Night(ランガールナイト)」の開催を実現。
初心者でも参加しやすい5km/10kmランと、マーケットのような広場、ランウェアのファッションショーやライブ等が行われるアフターパーティーがひとつになった、新しいスタイルのランニング大会として注目された「RunGirl★Night」は、多くの女性ランナーから支持を得て、徐々に規模を広げながら2010年から2018年まで9回開催された。

この他にも大小様々なランニングイベントの企画、場所やモノのプロデュース、日本各地のランニング大会を女性に優しいものに変えるアドバイザーとして、またランニングを通じた社会貢献活動など、RunGirlは今もなお活躍の場を広げている。
宇田川さんは、ランニングを楽しむだけでなく、ランニングシーンを生み出す立場にもなったのだ。

生活の隙間にフィットするランニング


RunGirlの立ち上げだけでも大きな出来事だったが、宇田川さんは同年に会社を辞め、結婚して新生活をスタート。 そこから11年間、RunGirlの代表として活動しながら3度の出産を経験し、フリーランスとして仕事も再開した。 年齢と共に変わり続ける生活の中で、一人の女性としてはどのようにランニングと付き合ってきたのだろうか。

「走ることから一番遠ざかってしまったのは、最初の出産後、慣れない子育てに奮闘していた時ですね。 仕事とRunGirl★Nightの企画運営と子育てと、、、どうやって乗り切ったのか、正直この頃の記憶があまりありません(笑)。 その後子どもが3人になり圧倒的に自分の時間がなくなりましたが、走りに行きたいと言い出せず、発散するところがなく機嫌も悪かったと思います。 当然、家庭内の雰囲気も悪くなってしまって。 私が元気でいることがきっと家族のためにもなる!と考えを切り替えられるまでには時間がかかりましたが、走るための時間を堂々と確保するようにしてからは、かえって気持ちが楽になりました」

「コロナ禍では家事や育児の切れ目が見えなくなり、少し鬱々とした日もありましたが、30分だけでも走りにいって自分のための時間を作ったことで、心身共に元気に乗り越えることができたと実感しています」

自分のための時間といっても、スケジュールが詰まっていれば詰まっているほど燃える宇田川さんらしく、頭と体はフル回転。

「ランニングで有酸素運動をしながら、リストウェイトをつけて背中の筋トレ効果を狙い、頭の中ではスケジュールを整理したり仕事のアイディアをまとめたりと、貴重な時間を最大限有効活用しています!」

最近は、朝起きたらランウェアに着替えてしまう日も多い。子供達を学校や幼稚園へ見送ったついでに走りに行ったり、家で仕事や家事をする隙間の時間に走ったりと、いつでもready to runだ。

「最初にはまった理由もそうですが、生活の”隙間“や”ついで“に出来るからこそ、どんなにライフスタイルが変わってもランニングを続けてこられたのだと思います」
そしてそのほんの少しの “隙間” や“ついで”がくれるものはとても大きい。
「ランニングは、ただ楽しいだけでなくつらい一面もある分、終えた後の達成感や爽快感が格別。 『よくやった、自分!』と褒めることで自己肯定感も生まれ、それが心の健康にもつながっていると思います。 最近では、産後久しぶりに月間200kmを達成できたことがものすごく嬉しかったですね」

ランニングは、宇田川さんが自分で自分を元気にするために押すスイッチのようなものなのかもしれない。 きっとそれは家族のしあわせにもつながっているはずだ。

「こんな私も、走ることは自分とは一生無縁だと思っていました。 だからランニングを敬遠している人にこそ、心から薦めたいです。 心身共に健康になって、体は勝手にシェイプされて、達成感から自信もついて、生活にアクセントがついて、家庭円満にもなる。 走って損することはないから走ってみて!って」 

宇田川さんの着用シューズはこちら:CLIFTON 7ENERGY PACK) 

【プロフィール】
宇田川佳子(うだがわ・よしこ)
フリーランスPR &マネージメント/RunGirl(一般社団法人ランガール)代表
1974年東京生まれ。大学卒業後旅行会社勤務を経てインポートのファッションブランドのPRを10年務めたのち、2010年フリーランスに転向。同年、ランの素晴らしさをもっと多くの女性とシェアしたいとの思いからRunGirlを結成。現在はフィットネストレーナーに特化したマネージメント業を行う傍ら、RunGirl代表として活動中。3児の母。
Instagram:@uda445gogo

写真:青木郁(あおき・かおる)
RunGirl★Night写真:本澤洋平(ほんざわ・ようへい)
取材・文:柴田玲(しばた・れい)